解説
飯縄山−霊仙寺山縦走コース
飯縄山主峰と霊仙寺山の稜線は、善光寺平からよく見えるように、黒々とした
針葉樹林に覆われている。
コメツガの原生林内の、苔むした岩をよけ、倒木をまたぐという変化のある登山道が
縦走の核心である。　
距離は長くなく、転落や道を失う危険もないが、飯縄山のおだやかな登山コースには
珍しくつかの間の緊張を経験させてくれる。
霊仙寺山正面登山道　逆読みをして下さい。
杉林特有の湿った道を行く。　「沓石」「手洗石」の表示がある。
鎌倉、室町時代に隆盛をきわめた霊仙寺（りょうせんじ）の遺物だ。
ほぼまっすぐの平坦な道は、五社権現奥の院跡に行き当たる。　
同じ遺跡だが、巨岩が散在し、護摩を炊いて修行した場所というだけに、
スギの大木に囲まれた深い山中に静謐の気配が漂う。
登山道は右に折れる。　
杉林を一段登ると平坦な道が現れるが、これは森林軌道の跡。
道は軌道跡から、背の高い樹林中を一定の勾配で登って行く。
ほぼ尾根通しで１５００ｍ付近から草原となり展望が見事だが、ここまでの上りは
辛抱が必要。
上村分岐を過ぎ、善光寺平からよく見える電波反射板が現れる。（現在は撤去）
ここから亜高山帯の植生が広がる。　
山頂まで左右の大岩の上に古事記の神々の名を刻んだ石碑がいくつか
建てられている。　
霊仙寺の修験たちの活動の証であろうか。
山頂手前で飯縄山への縦走路を左へ見送りほどなく樹木のない岩の散らばる
霊仙寺山山頂へ達する。　
３６０度さえぎるもののない眺望がある。　『章文館・北信・東信、日帰りの山』より抜粋